ディスポーザ排水処理システムの普及による排水管への夾雑物流入や、厨房排水からの高温排水頻度の増加など、建築設備における排水システムへの負荷が近年高まっています。 それに伴い排水配管の腐食要因も多様化しており、厨房排水配管や排水槽通気管に使用されている排水鋼管用可とう継手が、設置後数年で本体に穴が開き漏水する事例が発生しています。 約30年の耐用年数があると言われている可とう継手ですが、このように急速な腐食が進んだ要因を調査したところ、

  • 排水槽や配管内の堆積物から発生する硫化物による腐食
  • 厨房排水にて高温排水や漂白殺菌剤による腐食

の二つに大別できることが分かりました。
東亜高級継手バルブ製造株式会社では、洗浄ホースに対する耐摩耗性の向上という市場ニーズに対応するため、継手内面にPPS樹脂を採用し、それを可能とする究極の継手として更に進化した「キッコーエース」を完成させました。

製品の特長

  • 継手の内面樹脂として採用した約2mmのPPS樹脂層により、硫化水素等の影響物質の浸入を防止します。
  • 耐熱性に優れ、高温水(90℃)にも耐えます。
  • 施工手順は従来排水鋼管用可とう継手と同様です。
  • 清掃用ホースの挿入、引き出しに対する耐摩耗性が飛躍的に向上しました。※1
    ※1当社従来品との比較による。

PPS樹脂について

PPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)は、耐熱・耐薬品・機械的強度に優れたスーパーエンプラです。近年、金属代替として、自動車電装部品、電子・電気機器等への採用が進んでます。東亜高級継手バルブ製造株式会社は、この素材特性に着目し、内面樹脂としてPPS樹脂を採用いたしました。
キッコーエースは、東レ株式会社製のPPS樹脂「トレリナ」を基材としています。

硫酸塩還元菌による腐食のメカニズム

「硫化水素」が要因とされる通気配管や排水配管の腐食が近年発生しています。

  1. 高負荷雑排水槽(厨房排水からの高温排水や夾雑物の流入)で嫌気性の硫酸塩還元菌の繁殖
  2. 硫酸塩還元菌の硫酸塩呼吸により硫化水素生成
  3. 硫化水素が配管内の水分と反応し硫酸生成
  4. 硫酸が継手内面の隙間から浸入し腐食発生

使用基準

1.用途

硫化腐食や高温排水が懸念される排水配管にご使用ください。

  • 排水槽通気配管(硫化腐食対策)
  • 厨房排水配管(高温排水、漂白殺菌剤対策)

※ポンプ圧送の排水管には使用しないでください。
(ポンプ圧送には圧送排水配管用ロックエースをご使用ください。)

2.適用管種
規格名 名称 耐食性※2 耐温水性※2 最高使用温度※2
JIS G 3452 配管用炭素鋼鋼管(SGP) × 90℃
JIS K 6741 硬質ポリ塩化ビニル管(VP) 60℃
WSP 042 排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管(D-VA) 60℃
※2 KA継手との組み合せによる

カタログ・価格表はこちら